「落ち着きがない」「すぐ泣く・怒る」「情緒が不安定」…
- 思い通りにならないと爆発する
- 気持ちの切り替えに時間がかかる
- 注意しただけで大泣き or パニックになる
- 落ち着いて話せる場面が少ない
こうした姿に、大人はつい「落ち着いて!」「我慢して!」と声をかけてしまいますが、
実はその前に必要なのが──「くずれても大丈夫」と思える“安全基地”なのです。
目次
■ 落ち着きの正体は、“感情の自己調整力”
子どもが「落ち着いている」とき、そこには次のような力が働いています:
- 自分の感情に気づき、受け止める力
- 感情のピークを越えて“戻ってこれる”神経的な回復力
- 安心感のある環境で“自分を出しても大丈夫”と感じていること
✨ この“自己調整力”は、教え込むものではなく、
「安心してくずれられる経験」からしか育ちません。
✅ チェック!「安全基地不足」の子に見られるサイン
- 感情を表現できず、溜め込んで突然爆発する
- 「泣く」「怒る」「グズる」ことに強い罪悪感を持っている
- 親や先生に嫌われることを極度に恐れる
- 家でも「いい子」でいようと無理をしている
- 甘えられず、感情の回復が遅い
→ これらは、「崩れても受け入れられる場所」が足りていないサインかもしれません。
■ 感情の自己調整=“くずれる→戻る”の練習
自己調整とは、決して「崩れないようにすること」ではなく、
✅ “崩れても大丈夫→落ち着ける→また動ける”という経験の繰り返し
この安心の土台になるのが、「安全基地」と呼ばれる心理的に安心できる人・場所・関係性です。
✅ 安全基地とは何か?
安全基地とは:
- 感情を出しても否定されない場所
- “くずれても見捨てられない”という実感がある関係性
- がんばらなくても自分の存在が受け入れられていると感じられる環境
💬 落ち着いている子は、内面にこう思っています:
「崩れても大丈夫な場所があるから、落ち着いていられる」と。
✅ 専門家の視点:「安心感」は自己調整の前提条件
心理臨床や発達支援の現場では、
- 感情のコントロール力=自己調整力は、愛着・信頼関係・身体的安心感の土台があって初めて育つと考えられています
- 「落ち着いて見える子」が自己調整できているとは限らず、“ただ抑えている”こともある
Bowlby(ボウルビィ)「愛着理論」
「探索(=学びや自立)は、安全基地があるときにはじめて可能になる」
✅ 家庭でできる!「安全基地」をつくるための5つの実践
① 泣いても怒っても、“ここにいていい”を伝える
→ 「泣いても嫌いにならないよ」「怒っても大丈夫」
→ 感情を出しても関係が壊れないことを教える
② “泣く前”より“泣いた後”を丁寧に扱う
→ 「泣いちゃったね」「疲れたね」「戻ってきてえらいね」
③ “がんばらない時間”をつくる
→ ただ甘える/静かにする/話さないでもそばにいられる時間
④ 感情を否定せず、「そう感じたんだね」と受け止める
→ 間違っていても“感じたこと”は正解として認める
⑤ 日常的に“戻る場所”としての関係性をつくる
→ 「疲れたら戻っておいで」「大丈夫だよ、いつでも受け止めるよ」
✅ よくある誤解と真実
誤解 | 実際は… |
「落ち着きのある子に育てたい」 | まず“くずれても戻れる安心”が必要 |
「感情を出すのはワガママ」 | 感情を出せないと“自己調整力”は育たない |
「うちの子は我慢強い」 | 実は“出せずに溜めている”だけかもしれない |
✅ 保護者の視点転換
- 落ち着く=感情を出さない、ではない
- 安心してくずれる場所がある子ほど、回復が早い
- 「崩れても受け入れてくれた経験」が、強さの源になる
■ まとめ:「落ち着きのある子」は、“くずれても大丈夫”を知っている
大人が「落ち着いてほしい」と思うなら、
まずは子どもが「崩れても大丈夫」と思える土台をつくること。
それが、感情をコントロールできる子どもを育てる最も本質的なスタート地点です。