「うちの子、手先が不器用で…」

  • はさみや折り紙が苦手
  • 文字がぐにゃぐにゃする
  • 積み木やブロックの扱いが雑

そんなとき、大人はつい「もっと手を動かそう」「巧緻性トレーニングだ!」と考えがちです。

でもその前に、“体のもっと下”を見たことはありますか?

■ 手先の不器用さの“隠れた原因”は足にある!?

意外に思われるかもしれませんが、手先の動きの安定性は「姿勢の安定」から生まれます。
そしてその姿勢の土台は、「足裏」「重心感覚」「体幹の軸」にあるのです。

体がグラグラしていると、手先は安定して動かせない。
→ 土台が整っていないまま手だけ動かそうとしても、うまくいかないのです。

✅ チェック!「土台不安定タイプ」の不器用さの特徴

  • 座っていてもすぐ姿勢が崩れる
  • 椅子に座ると片足を上げる・足をぶらぶらする
  • 立ったときに足裏が浮きがち(指で地面をつかめない)
  • 工作や書字のときに「体ごと動いてしまう」
  • じっとしていると疲れてくる

これらが当てはまると、「手先」ではなく「足と重心の不安定さ」から不器用さが来ているかもしれません。

■ 足と重心が不安定だとどうなる?

  • 姿勢保持にエネルギーを使ってしまい、手先の微細な調整にリソースが残らない
  • 書く・切る・つまむ動作がガサツ・雑・ブレやすくなる
  • 結果として「不器用」「集中力がない」「雑な子」と見られてしまう

✅ OT(作業療法士)はここを見る

  • 足裏が床にしっかりついているか
  • 骨盤が安定しているか(揺れない/倒れない)
  • 頭と胴体が軸としてまっすぐ通っているか
  • そのうえで、初めて「手の操作性」を評価する

Case-Smith et al.
「微細運動の前に、重心の安定と身体軸のコントロールが発達している必要がある」

✅ 家庭でできる「土台から育てる」感覚あそび3選

① 足指グーパー体操

  • 足の指をグー・パーと動かす(タオルをつかむ・広げるも◎)
    → 足裏の感覚&重心調整力アップ

② くねくねバランス歩き

  • ロープや布を床に置いて、その上を歩く
    → 重心の移動とバランス感覚の強化

③ おしり歩きレース

  • 床に座り、おしりだけで前進!
    → 骨盤と体幹を使って“姿勢の中心”を育てる

✅ よくある誤解と真実

誤解実際は…
「手先が不器用だから、たくさん使わせよう」まずは体の土台が安定していないと意味がないことも
「座り方が悪いだけ」足裏が不安定なことで、骨盤ごと崩れている可能性あり
「もっと集中すればできる」実は姿勢保持だけで“エネルギーを使い果たしている”かも

✅ 保護者のための見直しポイント

  1. 椅子と机の高さをチェック:足が床にしっかり着いているか?
  2. 椅子に「骨盤を立てて座る」意識をサポート
  3. 工作・書字の前に“足から刺激を入れる”ルーティンをつくる

■ まとめ:「不器用さ」は、“足”と“軸”を整えることで変わり始める

「もっと練習させなきゃ」と思ったその前に。
まずは、子どもの体が“手先を自由に動かせる状態”になっているか?を見てみてください。

不器用さは、「能力の問題」ではなく「身体の準備が整っていないサイン」かもしれません。