「勉強するとすぐ疲れる」「すぐにぼーっとする」

  • 最初は頑張っても5分で集中が切れる
  • 簡単な問題でも時間がかかる・フリーズする
  • 勉強後はぐったり/感情的になる/機嫌が悪くなる
  • 「理解していない」わけではないのに“進まない”

それ、理解力や集中力の問題ではなく、
“脳が使えるエネルギーの総量”が少ないだけかもしれません。

■ 「脳のエネルギー」とは?

脳には筋肉のようなスタミナがあり、
学習・注意・感情コントロール・記憶といったすべての認知活動には“神経的エネルギー”が必要です。

✅ つまり「考える」だけで脳は疲れる。

その“エネルギーの量と使い方”に個人差があるのです。

✅ チェック!“エネルギー配分が苦手な子”のサイン

  • 最初の数分は集中しているのに、急にガクッと落ちる
  • 見通しが立たない課題に取り組むとすぐ疲れる
  • 宿題の途中で「わからない!」と爆発する
  • 勉強の後、明らかにイライラ or 無気力になる
  • テスト中に「わかってたのに書けなかった」経験が多い

→ これらは、「脳のエネルギーの調整や持続に課題があるサイン」かもしれません。

✅ 専門家はこう見る:「学習困難=理解力」だけではない

発達支援や教育臨床の現場では、以下の要素が「学習のしやすさ」に大きく影響すると考えられています:

  • 覚醒レベルの安定性(脳の“オン・オフ”)
  • 情報処理速度と持続性(集中のスタミナ)
  • 感覚過敏・刺激への疲労反応
  • 自己調整機能(疲れを自覚・回復できる力)

Barkley (2012)
「ADHDを含む実行機能の課題は、“注意力”というより“脳のリソース管理力”の問題である」

✅ 脳が“使いすぎている”とどうなる?

  • 一つ一つの課題に全力を出しすぎて、途中で“燃料切れ”
  • 考えようとすると「頭が真っ白」「重い」と感じる
  • 環境刺激(音・光・声)も脳内エネルギーを奪っていく
  • → 結果として「やる気がないように見える」「集中が続かない」になる

✅ 家庭でできる!脳のエネルギー管理をサポートする方法5つ

① “時間”ではなく“エネルギーの波”で勉強時間を考える

→ 長くやるより「短く集中→こまめに回復」が◎
→ 例:10分やったら3分ストレッチ/暗記→雑談→暗記

② “できた感”を先に味わわせる(序盤に得意課題)

→ エネルギーの出力がスムーズになる「助走」が大切

③ 脳の“消費型”を知っておく(情報量・刺激量を調整)

→ 例:図形問題・読解問題は見た目以上に脳エネ消費が大きい
→ 取り組む順番やタイミングで調整

④ “途中で疲れるのは普通”という前提を共有する

→ 疲れ=甘えではなく「バッテリー切れ」と捉えることで安心感UP

⑤ 感覚から“脳にエネルギーを送る”刺激を活用

→ 例:深部感覚刺激(ギュッと抱きしめる)/軽いジャンプ/指もみ
→ 覚醒&神経エネルギーを回復させる

✅ よくある誤解と真実

誤解実際は…
「やる気がない」“脳のエネルギー切れ”で動けなくなっている
「理解してないのでは?」情報処理のスタミナが切れて“処理できない”だけ
「集中力が続かない」自己調整(エネルギー管理)力が未発達なだけ

✅ 保護者ができる視点転換

  1. 「どこでつまずいた?」ではなく「いつ疲れた?」を観察する
  2. “勉強が終わった後”の様子にも注目する(脳の消耗度)
  3. 成果より「バッテリー管理力」がついたことを認める

■ まとめ:「勉強が苦手」は、“理解の力”より“脳のエネルギーの使い方”かもしれない

子どもが学習に取り組めないとき、
そこには“がんばり不足”でも“理解力の限界”でもなく、
“脳のエネルギーをどう配分するか”という課題があるのかもしれません。

大人が“学びの体力”に目を向けることで、
子どもは無理せず“自分に合ったペースで学ぶ力”を育てていけるのです。