「うちの子、音読がとにかく苦手なんです…」
- すぐつっかえる
- 1文字ずつ読んでしまう
- 行を飛ばしたり、同じ行を繰り返す
- 読んでいても内容が全然頭に入っていない
よくあるのは「読む練習が足りないのでは?」「語彙が少ないのでは?」という誤解。
でも実はそれ、“目と耳の連携の難しさ”が原因かもしれません。
目次
■ 音読には「視覚」「聴覚」「運動」の総合連携が必要
音読とは、以下の機能の同時並行処理で成り立っています:
- 目で文字を追う(視線追跡)
- 音に変換する(音韻認識)
- 口を動かす(発声運動)
- 自分の声を聞いて調整する(聴覚フィードバック)
✨この一連のプロセスが“自動化”されていない子どもは、音読の途中で混乱してしまいます。
✅ チェック!「耳と目の連携が苦手」な子のサイン
- 目で追うスピードと声のスピードがズレる
- 音読中に目線が止まってしまう
- 「読んでる声を聞きながら読む」のが苦手
- 文字を追うのに必死で、意味が入ってこない
- 読み終わった後に「何を読んだか覚えていない」
→ これらが当てはまるなら、「読解力の問題」よりも感覚と認知の“連携”の難しさがあるかもしれません。
✅ 視覚と聴覚が“協調”しないと何が起きる?
- 目は文字を追っていても、耳がそれを捉えきれずついていけない
- 自分の声を聞いて調整する力(聴覚フィードバック)が働きにくい
- 発声と視線のタイミングがズレて、「読むこと」だけで精一杯に
🧠 脳がパニックになり、内容の理解やリズムのある音読ができない
✅ 専門家はここを見る:音読=視覚+聴覚+運動の統合
OT(作業療法士)やST(言語聴覚士)は、音読が苦手な子の背景として以下をチェックします:
- 視線追跡の安定性(スムーズに行を追えるか)
- 音韻処理能力(文字→音への変換のスムーズさ)
- 聴覚フィードバック(自分の声を聞いて調整できるか)
- 音の処理速度(見た文字の音を即時に言えるか)
Torgesen et al. (2001)
「音読困難は、視覚的情報と音韻情報の統合の不全に深く関係している」
✅ 家庭でできる「耳×目」連携トレーニング3選
① “見て言う”音まねゲーム
- 親が指で示した文字や単語を「即座に言う」遊び
- → 文字を見る→音にする→声に出すの連携を育てる
② 2人で交互音読
- 親と1文ずつ交代で読む(聞く+読むの切り替え力アップ)
- → 聴覚→視覚→発話の循環トレーニングに
③ リズム音読
- 簡単な詩や文章を一定のリズムに合わせて読む
- → 音のテンポで目と声の“ズレ”を補正
✅ よくある誤解と事実
誤解 | 実際は… |
「読む練習が足りない」 | “感覚の連携”が未発達なだけかも |
「言葉に弱い子」 | 実は音を捉える耳や、視線の動きに課題がある場合も |
「本を読めば慣れる」 | 読むための“目×耳×口”の協調が整っていないと逆に苦手意識に |
✅ 保護者のサポートポイント
- 「読めたかどうか」より「どんなふうに読んでいたか」を観察する
- 黙読だけでなく、“聴く+読む”の両方を使った練習を取り入れる
- 苦手な子には“録音再生”で自分の音読を“聞く”経験も有効
■ まとめ:「音読が苦手」は、“感覚のつながり”のサインかもしれない
子どもの音読がたどたどしいとき、
それは“文字が読めない”のではなく、
“感覚と感覚がつながっていない”ことへのサインかもしれません。
苦手なところを責めるのではなく、
「どうすればつながるか」を探すことが、学びの突破口になります。