「座ってるだけなのに、なんで動くの!?」

  • 授業中、イスでゆらゆら
  • テーブルの下で足をバタバタ
  • ごはん中に席を立つ、体がくねくね動く

こんな行動、“落ち着きがない”と決めつけていませんか?

でも実はそれ、「身体が“じっとしていられない”ほどの不快感」を抱えている状態かもしれません。

■ “動いてしまう”のではなく、“動かないとつらい”のかも

その理由のひとつが、感覚統合の中でも重要な“前庭感覚”と“深部感覚”の未発達や刺激不足”です。

✋ 脳が姿勢や身体の位置を安定して把握できていないと、子どもは「動き続けることでバランスを取っている」のです。

✅ チェック!“動かずにいるのがつらい子”のサイン

  • イスにまっすぐ座るのが苦手(すぐズレる・倒れる)
  • 座っていると常に体を揺らす、回す、ねじる
  • 足を組み替えたり、机にのせたりしがち
  • 片足立ちやバランスを取る動作が苦手
  • 階段を一段ずつ降りられない、ジャンプが苦手

→ これらが当てはまるなら、「姿勢を保つ感覚の土台」が不安定な可能性が高いです。

■ なぜ「じっとできない」につながるのか?

子どもがじっとできないのは、

  • 姿勢を保つための感覚(重力・筋肉・関節)に不安定さがある
  • → 体が「このままでいいか分からない」と感じる
  • → 無意識に体を揺らして“調整”している

つまり、動いていることには「自分を感じようとする意味」があるのです。

✅ 専門家の視点:これは「注意欠陥」ではなく「感覚系の補正動作」

作業療法士(OT)の現場では、

  • “じっとしていられない”子を「落ち着きのない子」ではなく「感覚調整が必要な子」として見る
  • 特に「前庭感覚」「深部感覚」「固有感覚」の未発達が疑われる場合は、体幹・姿勢・空間認識から支援します

Kranowitz, C. (1998)
「“動かないと落ち着かない子”は、“動くことでようやく落ち着ける状態”なのだ」

✅ 家庭でできる!“じっとできる身体”をつくる感覚遊び3選

1. ゴロゴロ背中転がし

  • クッションやタオルで体をくるみ、背中を床でゆっくり左右に転がす
  • → 前庭感覚(重力・傾き)への安心感アップ

2. おしり歩きレース

  • 床に座って、おしりだけで前後に進む
  • → 骨盤まわり&体幹安定、姿勢保持力アップ

3. くねくねバランス歩き

  • クッションや線の上を“落ちないように”歩くゲーム
  • → 姿勢と空間感覚の協調運動

✅ よくある誤解と真実

誤解実際は…
「集中力がない」身体が“落ち着けない”状態なだけ
「落ち着きがない性格」感覚的に“不安定”で調整のために動いている
「動かない練習をさせればいい」動くことで自分を“感じている”子には逆効果になることも

✅ 保護者ができる工夫

  1. “じっと”より“どんな姿勢が楽か”を一緒に探す
  2. 授業前や食事前に“感覚スイッチON”の遊びを取り入れる
  3. 叱るのではなく、“この子はどうして動くのか”という視点に切り替える

■ まとめ:「じっとできない子」は、“今の体が落ち着けない”だけかもしれない

子どもが体を動かすのは、ただのクセでも、集中力のなさでもありません。

それは時に、「動いていないと自分が不安でつらい」という切実な“感覚のSOS”

子どもが落ち着けるようになるには、まずは“動いてもいい”“揺れてもいい”という受け皿づくりから始めてみませんか?