「うちの子、すぐ怒るんです…」
- ちょっとしたことでかんしゃく
- 注意しただけで怒鳴り返す
- 気分の浮き沈みが激しい
- 親も疲弊、「育てにくい」と感じてしまう…
でも、それは単に「感情をコントロールできない」のではなく、“感覚の処理”がうまくいっていないサインかもしれません。
目次
■ 「感覚のコントロール」とは?
私たちは日常的に、五感(視覚・聴覚・触覚・嗅覚・味覚)+身体感覚(前庭・深部感覚など)から、大量の刺激を受け取って処理しています。
✋ この“感覚処理”が過剰すぎたり、混乱していたりすると、脳は「不快・不安・緊張」状態になり、爆発的な感情反応(怒り・泣き・拒否)が起きるのです。
✅ チェック!「感覚コントロールの難しさ」が原因かもしれない特徴
- 音・におい・光などに敏感でイライラしやすい
- 衣服のタグ、気温の変化、他人との接触を嫌がる
- 環境の変化にすぐパニックになる
- 体が落ち着かず、常に動いている(あるいは極端にフリーズ)
- 「○○が嫌!」と言っているのに理由が説明できない
→ これらが当てはまるなら、「感情」ではなく「感覚の過負荷」による反応かもしれません。
✅ 感情爆発のメカニズム(感覚ベースver)
- 感覚入力が多すぎる/処理できない
- 脳が“ストレス状態”に入る(交感神経優位)
- 理性より先に“防衛反応”が出る(怒り・拒否・暴言)
- → でも本人は「なぜ怒っているか分からない」ことも多い
✅ OTや感覚統合の専門家が見るポイント
- 子どもの怒りや不機嫌の背景に、何らかの“感覚的ストレス源”がないかを探る
- 「怒った理由」よりも、「怒る前に受けていた刺激」に注目
Miller et al. (2007)
「感覚処理に困難を抱える子どもは、通常の環境刺激がストレスとして蓄積し、行動爆発として現れやすい」
✅ 家庭でできるサポート:感覚コントロールを助ける5つの方法
1. 「怒る前」のパターンを観察する
→ どんな環境(音・匂い・気温・服)で不機嫌になるか記録する
2. 感覚刺激を減らした「避難場所」を用意する
→ クッション、暗めのスペース、イヤーマフ、香り対策など
3. 怒ってからではなく、“怒る前に落ち着かせる”
→ 揺れ遊び、深呼吸、ギューっと抱きしめるなどの感覚調整
4. 「怒った原因」を一緒に探さない
→ 多くの場合、本人も自覚していない“感覚ストレス”の爆発なので、原因探しは逆効果
5. 感覚刺激を「予測させる」「選ばせる」
→ 「これから掃除機かけるね」「イヤーマフつけておく?」など、選択肢の提示で安心感UP
✅ よくある誤解と真実
誤解 | 実際は… |
「怒りっぽい性格」 | 感覚処理が過敏で“怒らざるを得ない”状態かも |
「わがまま」 | 本人にとっては“切実な防衛反応” |
「自分で気持ちをコントロールできないのはダメ」 | 感覚的ストレス下では理性が働かないのが自然 |
✅ いつ支援機関に相談すべき?
- 日常生活に支障が出ている(学校に行けない/対人関係が困難)
- 家庭だけで対応しきれない怒りの頻度・強度がある
- 本人も疲れていて、リラックスする時間が持てない
→ 作業療法士(OT)や心理士が「感覚と行動の関係」を整理してサポートしてくれます。
■ まとめ:「すぐ怒る子」は“感じすぎて困っている”のかもしれない
私たち大人が「なんで怒るの?」と感じるその行動、
実は「感じすぎる脳」が無意識に出しているSOSのサインかもしれません。
性格でも育て方でもなく、感覚を落ち着かせる工夫から始めてみることで、
子ども自身も「イライラしない自分」を少しずつ手に入れていけるようになります。