「ごめんなさい」が口グセの子

  • 少し注意されただけで、即「ごめんなさい」
  • 自分が悪くないことでも謝ってしまう
  • 他人の失敗でも「私のせいかも…」と感じる
  • 頼まれていないのに「ごめんね」と先回りする

「気遣いができる子」「優しい性格」と見られることもありますが、
実はその“すぐ謝る”行動の背景には、脳と神経が常に“自分が悪い”と誤認してしまう状態が隠れているかもしれません。

■ 謝る=反省とは限らない

人が謝るのは、いつも“自分の悪さを認識しているから”ではありません。

ときに、それは「不安を回避するための防衛反応」でもあります。

✋ つまり「怒られたくない」「これ以上不安になりたくない」という脳の自己防衛の一手段として、
「とにかく謝っておこう」が習慣化してしまっていることがあるのです。

✅ チェック!「すぐ謝る子」の神経的サイン

  • 注意されるとすぐに涙目になり「ごめんなさい」を繰り返す
  • 本人に非がない場面でも「私が悪いんでしょ」と言う
  • 友達とのトラブルで、内容を問わず“先に謝る”
  • 表面的には落ち着いていても、帰宅後にグッタリしている
  • 叱られる前から“謝る準備”をしているように見える

→ これらは、“常に緊張モード”で人と関わっている神経状態のサインかもしれません。

✅ 背景にあるのは“神経の過覚醒”と“自己肯定感の低下”

このような子どもは、神経レベルで次のような状態にあることがあります:

  • 自律神経が常に交感神経優位(戦う・逃げる状態)
  • 「失敗=人間関係の崩壊」と感じてしまう回避型反応
  • 自己否定感が強く、自分の感情より相手の反応を優先
  • 「悪いのは自分」と思い込む“慢性的な警戒”

✅ 専門家の視点:「謝る=良い子」とは限らない

心理士・作業療法士・発達支援の専門家は、
“すぐに謝る子”を次のように見ます:

  • 謝ることで安心を得ようとしているか?
  • 謝ったあとに緊張が抜けているか?
  • 言葉としての謝罪より“行動のパターン”を重視する

Dan Hughes(D.D.P理論)
「過剰な謝罪行動は、愛着や安全感の不足を背景に“関係性の維持”を目的として出てくることがある」

✅ 家庭でできる「過剰な謝罪」をやわらげる関わり方5つ

① 「今は謝らなくていいよ」を言葉で伝える

→ → 謝ることより“感じること・伝えること”を優先してOKという安心感を与える

② 「あなたが悪いわけじゃない」と明確に伝える

→ 例:「困ってるだけで、あなたが悪いんじゃないよ」
→ 誤学習された“=自分のせい”という思い込みを少しずつほどく

③ 謝る前に「どう思った?」「どう感じた?」を聞く

→ 感情表現を優先させることで、“謝罪=対処”のクセを緩和

④ 謝ったあとに「安心できたかどうか」を尋ねる

→ → 謝罪が“安心のための行動”になっていることに気づかせる

⑤ 「謝る」以外の方法で安心を取り戻せる手段を用意する

→ 抱っこ・手をつなぐ・深呼吸・お気に入りの場所に行く…など、安心の回復ルートを広げる

✅ よくある誤解と真実

誤解実際は…
「素直で優しい子」不安を回避するために“過剰適応”している可能性も
「人に気を使えるのはいいこと」“自分の気持ちより人の顔色”が優先されてしまっている
「すぐ謝れる=しっかりしている」実は“自己否定”の現れであることも多い

✅ 保護者の視点転換

  1. 「謝ってえらいね」ではなく「あなたの気持ちが知りたいな」と返す
  2. 「何が悪かったか」よりも「安心できたか」に注目する
  3. “謝らなくても受け入れられる”という経験を重ねる

■ まとめ:「すぐ謝る子」は、“安心できていない脳”がSOSを出しているのかもしれない

すぐに「ごめんなさい」が出るその子は、
本当は「怒られたくない」「見捨てられたくない」と思っているのかもしれません。

だからこそ大人は、“謝らせないと終われない関係”ではなく、“謝らなくても安心できる関係”を築いていくことが大切です。