「すぐに疲れる」「やりたい気持ちはあるのに続かない」
- 勉強や運動のあと、ぐったりして動けなくなる
- 少し頑張っただけで「もう無理…」と諦めてしまう
- 学校ではがんばれるけど、帰ってきたら電池切れ
- 翌日まで疲労感を引きずる
「やる気がない?」「体力がない?」と思われがちですが、
実はその子、“がんばる力がない”のではなく、“がんばったあとに回復できない”のかもしれません。
目次
■ がんばり=エネルギーの消費と回復のバランス
子どもが勉強・運動・対人関係などに取り組むとき、
脳や神経は大量のエネルギーを使っています。
特に注意力、感情の調整、感覚処理などには“神経的な持久力”が必要です。
✨ 問題は「がんばる力」ではなく、「回復して、また動けるかどうか」=エネルギー調整力にあるのです。
✅ チェック!「エネルギー調整が苦手な子」のサイン
- 集中できても短時間でガクンと落ちる
- がんばった後に感情的・過敏・不機嫌になる
- 少しの刺激(音・光・人混み)でぐったりする
- 学校や習い事のあと、動けない/話せない
- 朝は元気なのに、昼・夕方になると急にバッテリー切れ
→ これらは、「がんばる力の不足」ではなく、“エネルギー配分と回復のしくみ”が未成熟な神経状態である可能性があります。
✅ 背景にあるのは“神経のエネルギー消費型”の特性
- 刺激過敏タイプ:五感への入力が多く、脳の処理が常にフル稼働
- 過覚醒タイプ:緊張が続き、リラックスできない
- 自己調整が苦手なタイプ:疲れたことに気づけず、限界を超えてしまう
- 回復モード(副交感神経)に切り替えるのが苦手
🔁 つまり「がんばり」はできても、「エネルギーを戻す力」が追いついていないのです。
✅ 専門家の視点:「持続力のなさ」は“性格”ではなく“神経の調整課題”
発達支援・作業療法・心理臨床では、
- 「がんばれない」よりも「がんばった後の神経の状態」に注目
- 感覚過敏や低覚醒・神経のスタミナ不足を評価
- 神経系のリズムや回復力を育てることが根本的な支援とされます
Barkley(実行機能理論)
「集中・行動の継続性・自己抑制などは、エネルギーの配分・維持・回復に関わる“神経的な持久力”によって大きく左右される」
✅ 家庭でできる!神経エネルギーの回復力を高める5つの習慣
① “がんばった後”のケアタイムを毎回セットにする
→ 静かな環境で10分横になる/好きな音楽/ぬいぐるみと過ごす
② 脳が安心できる「予測可能なルーティン」をつくる
→ 日常に“決まった流れ”があると、エネルギー消費が減る
③ “がんばらない日”を意識的につくる
→ 「今日はなにもしないデー」などで神経の回復力を育てる
④ 感覚刺激を“そっと減らす”時間をはさむ
→ 勉強や人混みのあとに、照明を落とす/音をなくす
⑤ 「よくがんばったね」より「ちゃんと休めたね」をほめる
→ “回復できる力”=自己調整力を評価する視点を育てる
✅ よくある誤解と真実
誤解 | 実際は… |
「もっとがんばれるはず」 | すでに限界までがんばって“神経がシャットダウン”している可能性あり |
「根性がない」 | エネルギーを配分・回復する神経システムが未発達なだけ |
「朝は元気だったのに」 | 一度フル出力すると、持ち直すまでに時間がかかる子もいる |
✅ 保護者の視点転換
- 「がんばれたか」より「戻ってこられたか」に注目する
- “がんばった後に崩れた”は、サインであり失敗ではない
- 休む=弱さ、ではなく、回復できる力=育ちの証
■ まとめ:「がんばってるのに疲れやすい子」は、“神経のバッテリー管理”がまだ育っていないだけかもしれない
がんばれないのではなく、
がんばりすぎて、エネルギーが切れてしまっている。
それが、“疲れやすい子”の本当の姿です。
その子の“努力”ではなく、
“回復する力”を育てる視点こそが、長く安心して力を伸ばす鍵になります。