「うちの子、なんでこんなにソワソワしてるの?」
- 授業中、ずっと体を揺らしている
- 気づくと貧乏ゆすりをしている
- 「じっとしてて!」と言っても聞かない
このような“落ち着きのなさ”、単なる性格や甘えではない可能性があります。
その鍵となるのが、あまり知られていない感覚――「深部感覚(しんぶかんかく)」です。
目次
■ 深部感覚って何?
深部感覚(Proprioception)とは:
✋ 自分の体の位置や動きを、「筋肉・関節・腱」から感じ取る感覚のこと
たとえば…
- 目をつぶっても自分の手足の位置が分かる
- 鉛筆をちょうど良い力で握れる
- 座っていても「今、自分はまっすぐか」を感じられる
この「身体の内側を感じるセンサー」が、実は私たちの落ち着き・集中・安心感の土台になっているのです。
■ 落ち着きのなさは「感覚の迷子」かもしれない
深部感覚がうまく働かないと、子どもはこうなります:
- 自分の体の位置が分かりにくい
- じっとしていることが“気持ち悪い”
- 体を動かして「自分の存在を感じよう」とする
つまり、“落ち着きがない”のではなく、感覚的に「今、自分がどこにいるかわからない」状態なんです。
📌 これは注意欠陥でも発達障害でもなく、「感覚入力不足」という環境・身体要因であることも多いのです。
✅ チェック!深部感覚が弱い子の特徴
- 音を立てて歩く(ドンドン)
- よく人や物にぶつかる
- ギューッと抱きしめられるのを好む
- 貧乏ゆすりや体の揺れがやめられない
- 字を書くとき、筆圧が弱いor強すぎる
- 抱きつく、つかむ、噛むなど“強い刺激”を求める
これらが複数当てはまるなら、深部感覚が足りていない状態かもしれません。
✅ 自宅でできる!深部感覚トレーニング3選(遊び感覚でOK)
1. 「ぎゅー」遊び
- 毛布にくるんで「サンドイッチごっこ」
- → 圧迫刺激で深部感覚が満たされる(不安・ソワソワが減少)
2. おふとん引っ張りレース
- 布団の上に乗せて、親が引っ張る
- → 筋肉と関節に“引かれる・支える”刺激を与える
3. 縄跳び・トランポリン遊び
- 垂直方向の刺激が深部感覚に非常に有効
- → 1日5分でも、落ち着きやすさが変わる子も
✅ 「運動させればOK」ではない理由
単なる「運動不足」と「深部感覚不足」は違います。
- スポーツが得意でも、感覚の統合ができていない子はいる
- 大事なのは「筋肉や関節からの感覚入力」
- そのためには“どこをどう動かすか”に工夫が必要
✅ 専門家も注目:感覚統合アプローチの中核
作業療法(OT)や感覚統合療法では、深部感覚へのアプローチが最重要項目の一つです。
Jean Ayres(感覚統合理論の提唱者)曰く:
「深部感覚入力は、子どもの落ち着き、自己制御、感情調整の“安全基地”である」
✅ よくある誤解
よくある思い込み | 実際は… |
「落ち着きがない=性格」 | 感覚的に“安心できていない”だけかも |
「運動すれば解決」 | 全身運動より、関節や筋肉への圧刺激が有効 |
「遊びばかりでいいの?」 | むしろ“遊び”こそ最強の発達支援です |
■ まとめ:「落ち着きのなさ」は、感覚のSOSかもしれない
「うちの子、注意力がない」「イライラしてる」と感じたら、
まず“体の中が感じられているか?”という視点で見てみてください。
感覚は目に見えませんが、動き方・落ち着き方・反応にすべて表れます。
「感覚の安心」があるからこそ、子どもは初めて「じっと座っていられる」のです。