「静かで落ち着いている」
「手がかからない子」
「何を言われても反発しない」
そんな子を、大人はつい「育てやすい」「しっかりしている」と評価しがちです。
でも実はその“おとなしさ”、
「感情が安定しているから」ではなく、
“自分を抑え続けている神経の緊張状態”の現れかもしれません。
■ 「静かにしている=落ち着いている」ではない
子どもが声を上げない・動きが少ない・自己主張をしないとき、
それは**「穏やかだから」ではなく、「安心して自分を出せないから」**かもしれません。
🧠 実は「感情を出す余地がないほど緊張している」可能性もあります。
✅ チェック!「おとなしい子」の“抑制型神経状態”のサイン
- イヤなことがあっても何も言わない(我慢する)
- 人の顔色を見て、自分の意見を引っ込める
- 楽しんでいるように見えても、表情・反応が薄い
- 集団では問題なく過ごすが、帰宅後に疲れきっている
- 怒られることはないが、褒められても反応が乏しい
→ これらは、“神経を使って自分を抑えている”可能性が高いです。
✅ 背景にあるのは、“抑制優位”な神経システム
このような子どもには、以下のような傾向が見られることがあります:
- 交感神経が持続的に働き、常に警戒モード
- 感情表現よりも「安全なふるまい」を優先する脳のクセ
- “自分を出す=リスク”という学習経験
- 感覚過敏があり、刺激に圧倒されないように自己を制御している
✅ 専門家の視点:「静か」な子ほど、神経の緊張に注意する
発達支援・心理療法の現場では、
- 「落ち着いている=安心している」とは限らない
- 「何も言わない」は「言えない」のかもしれない
- 「問題を起こさない子」ほど、“内面のSOS”が見えづらい
という前提で、
子どもの**“感情と神経の抑制状態”**に注目します。
Polyvagal Theory(ポリヴェーガル理論)
「シャットダウン型の子どもは、表面上穏やかでも、実際には“凍りつき”というストレス状態にあることがある」
✅ 家庭でできる!「おとなしさの奥」にある感情をゆるめる5つの関わり方
① 「何も言わない子」に“問い詰めない・詮索しない”
→ 「本当はどう思ってるの?」と追い詰めるのではなく、“待つ”姿勢が安心を育てる
② 「出てきた小さな感情」にすぐ反応せず、“そっと寄り添う”
→ 例:ちょっと怒ったとき、「出せたこと」自体を受け止める(すぐに正す・指導しない)
③ 「自己主張」より「自己表現」の場を増やす
→ 絵を描く/ぬいぐるみに話す/非言語の表現を通して、“出す感覚”に慣れていく
④ 1対1で、安心できる人とだけで過ごす時間を定期的につくる
→ 集団では無意識に“抑制”してしまうので、“出せる場”を確保する
⑤ 表面的な「落ち着き」より、“リラックスの質”に目を向ける
→ 本当に安心している子は、表情・姿勢・呼吸が柔らかい
→ 静かでも“緊張が張りつめた静けさ”には要注意
✅ よくある誤解と真実
誤解 | 実際は… |
「大人しくて聞き分けがいい子」 | 緊張と警戒で“自己主張できない”だけかもしれない |
「落ち着いている」 | 実は“感情を止めている”=神経がフリーズしている可能性 |
「手がかからない子」 | 問題が“外に出ていない”だけで、内側に溜めている |
✅ 保護者の視点転換
- 「落ち着いている」ではなく「出せていないのかもしれない」を疑う
- “問題がない=順調”ではなく、“その子が自由に動けているか?”に注目する
- 静けさの裏にある“見えない緊張”に寄り添う勇気を持つ
■ まとめ:「おとなしい子」は、“感情をしまい込んでいるだけ”かもしれない
子どもが静かにしていると、大人は安心してしまいます。
でもその静けさの裏に、出せない感情・言えない思い・緊張した神経が隠れているかもしれません。
だからこそ私たちは、
“声の大きい子”だけでなく、
“声を出せない子”にも、まなざしを向ける必要があるのです。