「もう4歳なのに、まだ毎朝グズグズ…」

  • 着替えを嫌がる
  • 靴下を履かない
  • 髪をとかすだけで大泣き

「わがままなの?」「いつまでイヤイヤ期?」と悩む保護者は少なくありません。
でも実はそれ、感覚過敏──とくに“触覚”の異常な敏感さによって起きている可能性があります。

■ 触覚過敏とは?

触覚過敏(Tactile Defensiveness)とは:

👕 肌に触れるものへの反応が、普通の子よりも過敏になってしまう状態

子どもは、自分でも理由がわからないまま「なんとなく嫌だ」「ゾワゾワする」「気持ち悪い」と感じています。

これは「甘え」でも「神経質」でもなく、脳の感覚処理の仕組みがまだ未熟なだけなのです。

✅ チェック!触覚過敏の子によく見られる特徴

  • 衣類のタグ・縫い目・素材に強くこだわる
  • 靴下やタイツを嫌がる
  • 髪をとかす・切るのを異常に嫌がる
  • 水・砂・泥など“触る系”の遊びを極端に嫌う
  • 他の子と手をつなぎたがらない
  • 抱っこや手を引かれることに拒否反応

これらが複数当てはまると、「イヤイヤ期」ではなく「触覚が苦手なだけ」かもしれません。

✅ 実際の声:「服を着るだけで大泣きする子ども」

作業療法士の現場ではこんな例も:

「保育園に行く前、毎朝“肌着がチクチクする!”と泣いていた4歳の男の子。
縫い目のないインナーに変えただけで、1週間で朝のパニックが消えた。」

親も本人も「理由がわからない」まま苦しんでいることが多く、環境を変えるだけで劇的に変わるケースもあります。

✅ 家庭でできる!触覚過敏ケアの工夫5つ

1. 服のタグをすべてカットする

→ 肌着は“縫い目外側”“綿100%”がおすすめ

2. 朝イチに「触覚のスイッチ」を入れる

→ 軽いタッチよりも“ギュッ”とした圧刺激が有効(例:腕を包むようにタオルで揉む)

3. ブラシ療法(Wilbarger法)

→ 専用ブラシ or 歯ブラシを使い、手足に一定の圧でなでる方法(※自己流には注意)

4. “触らないでもできる支度”を選ぶ

→ 前開きの服、靴ひもなし、髪を結ばなくてもいい日をつくる

5. 「嫌がっても叱らない」環境作り

→ 子どもにとっては“痛み”と同じ。回避できる工夫で「自信」→「慣れ」へと導く

✅ よくある誤解

思い込み実際は…
「ただのイヤイヤ」触覚の処理に困っているかも
「慣れさせるしかない」無理な刺激は逆効果。安心→徐々に慣れるが鉄則
「反応が大げさすぎる」本人にとっては“本当に不快”でリアル

✅ 医療・発達支援の視点

  • 作業療法士(OT)は、感覚処理障害(SPD)の評価と支援が可能
  • 感覚統合療法では、「不快な刺激を避ける」のではなく「安心できる刺激から徐々に慣らす」を原則とする

Wilbarger, P. (1991)
「触覚防衛反応は、感覚系にとって“過剰な警報”状態。優しく再教育する必要がある」

✅ まとめ:「わがままじゃない、感覚のSOS」

あなたのお子さんが「脱ぎたくない」「履きたくない」と泣くのは、
実は「肌への刺激がつらい」という本人も説明できない感覚的苦痛かもしれません。それに気づいて「この子は変じゃない。感じ方がちょっと敏感なだけ」と思えたとき、
親子の関係にも安心と優しさが生まれます。