──ADHD・ASD傾向の子がハマりやすい理由とは

「教室では落ち着かないのに、パソコンの前では集中している」

「普段はぼーっとしてるのに、コードを書くと別人みたい」
「言葉での説明が苦手でも、自分でゲームを作っている」

こうした子どもに驚いたことはありませんか?

実は、プログラミングが得意な子には──
“感覚の鋭さ”や“自分の世界に没入する力”という特性が強みに変わっている場合があります。

■ ADHDやASD傾向の子が「ハマる」のには理由がある

ADHD(注意欠如・多動)やASD(自閉スペクトラム)傾向のある子には、
以下のような特性がよく見られます:

特性プログラミングでの強み
感覚が鋭い(音・光・刺激に敏感)細かい変化や構造に気づける
空間把握が得意ロジックの全体構造を空間的に理解できる
没入力が高い一つのことに集中し続けることができる
言語より“構造”で考えるコードや動きに“意味づけ”ができる
一斉指示より個別探求が得意自分のペースで考え、修正・構築を繰り返せる

✅ 普段は「困った特性」だったものが、プログラミングでは「武器」になる

例:

  • 過集中=没頭できる強さ
  • こだわり=動作を微調整する粘り強さ
  • 感覚の鋭さ=エラーやズレにすぐ気づける観察力
  • 言語の苦手さ=直感的に“構造”で理解しようとする力

つまり、プログラミングという環境では:

「みんなと違う」が「それがいい」に変わる

という反転現象が起きやすいのです。

✅ 「一斉授業」より「個別没頭型」の方が力を発揮しやすい

ADHD・ASD傾向のある子は:

  • 外からの刺激に過敏
  • 他人のペースに合わせるのが苦手
  • 自分の処理スピード・関心領域で動きたい

こうした子にとって、プログラミングの環境は:

  • 黙っていてもOK
  • 自分のペースで操作できる
  • 正解が1つじゃない=自由度がある
    → 結果的に、「制約の少なさ」が“生きやすさ”につながる分野になります。

✅ 大人が気づかずに潰してしまう可能性もある

せっかくの強みも、環境次第ではつぶれてしまいます。

  • 「他の子より早く進みすぎ」
  • 「授業に合ってない」
  • 「勝手なことをしている」

という“ズレ”として扱われてしまい、
本来発揮されるはずの能力が止まってしまうことも。

✅ 必要なのは「理解」と「選べる環境」

このタイプの子が力を伸ばすために必要なのは、

  • 正解が1つじゃない教科に触れること
  • 周囲に合わせるより、自分のリズムを選べる環境
  • 「感じすぎる脳」に負担をかけない静かな設計

つまり、“個性を矯正する場”ではなく、“活かせる土壌”です。

✅ プログラミング=“神経特性を活かす学び”として見る視点

これからの時代、
プログラミングはただのスキルではなく、
「どんな脳でも、思考を表現できる場」になりつつあります。

だからこそ、

「この子は特性があるから苦手だろう」ではなく、
「この子の脳には“こういう教科”が合うかも」

という逆転の視点が必要です。

✅ まとめ:「没頭できる子」には、没頭できる“環境”が必要

プログラミング教育は、
「発達特性を武器にできる」数少ない学びのひとつです。

だからこそ、大人の役割は──
「集中力を引き出す」のではなく、
“安心して没頭できる環境を整えること”。