──プログラミング=認知の“空間設計”を鍛える訓練?
「なんとなくコードは書いてるけど、意味がつながってない」
「ifは入ってるけど、thenもelseもズレてる」
「どうしてこの順番になったの?と聞くと“わからない”と言う」
…このような“順序の混乱”に、心当たりはありませんか?
それ、論理力不足ではなく、“空間と全体像の見えなさ”が原因かもしれません。
目次
■ プログラミングは“空間の中に思考を並べる”学び
プログラミングは単なる「コードの羅列」ではなく、
“思考を空間の中で設計する力”を必要とします。
例:if → then → else の構造
- if(もし〜なら)
- then(こうする)
- else(そうじゃなければこうする)
この構造は、
条件 → 処理 → それ以外の処理
という空間的な「流れ」や「階層」の理解が不可欠。
でも、“空間的に順序をイメージする力”が弱い子にとっては…
- 順序が逆になる
- ブロックの関係が崩れる
- 全体の中の“位置”が把握できない
→ 結果、コードがつながらない/論理が飛ぶ/設計ミスが頻発するという状況に。
✅ 「順序立て」ができない理由は“視覚空間処理”かも?
▶︎ 子どもに見えている世界
正常な空間処理 | 見えにくい子の状態 |
「前→後ろ」「中→外」などの構造がイメージできる | すべての要素が“横並び”になって見える |
どこから手をつけていいか見える | どこがスタートでどこがゴールか曖昧 |
全体→部分で設計ができる | いきなり部分から入り、全体がつながらない |
■ 「設計ミスが多い子」は、思考の地図が描けていないだけ
プログラミングにおいて“設計ミス”とは:
- 順番の前後ミス
- 条件分岐の混乱
- 不要な処理の挿入・漏れ
- 似たような処理の重複
これらは、考える力がないのではなく、
「どこに何があるか見えていない」「全体像を保持できない」ことで起こる現象です。
✅ プログラミング=“脳内での空間設計”の訓練になる
この観点から見ると、
プログラミングはただの“論理教育”ではなく──
思考を構造化する空間トレーニングでもあるのです。
✅ 家庭・教育でできるサポートのヒント
工夫 | 目的 | 実践アイディア |
---|---|---|
✅ コードを図にして“見える化”する | 順序・階層・関係性を視覚で補助 | 🔸コードをそのまま書かせる前に、「流れ図」にする🔸例:「スタート」→「もしボタン押されたら」→「音を鳴らす」→「ジャンプ」のように矢印や箱でつなぐ処理図を一緒に描く🔸Scratchなどのビジュアル言語では、実際のブロック配置を印刷して線で結ばせるのも◎ |
✅ 「全体→部分」に分解する言葉を使う | 最初に“全体の構造”を意識させる | 🔸コードに入る前に、「今日は“何をさせるプログラム”を作る?」とアウトラインから聞く🔸例:「大きな動きと、細かい動き、どっちから作る?」「まず流れを決めてから、中身を作ろうか」🔸“地図→道順”のような順番で考える習慣をつける声かけを |
✅ 紙とペンで“処理の地図”を描く | 脳内の順序を外に出して整理する | 🔸コードの目的・分岐・繰り返しを手書きで図示(例:「音が鳴る」「光る」「止まる」などの分岐を線でつなぐ)🔸親子・ペアで「処理の順番しりとり」(1人目「スタート」→2人目「光る」→1人目「動く」)など口頭でもOK🔸「紙の上に思考の流れを見せる」が合言葉! |
✅ 正解のコードより“構造の理由”を聞く | 思考を「意味のある順番」に変える | 🔸子どもがコードを書いた後、「なんでここでジャンプにしたの?」「これが先だとどうなる?」と順番の“理由”を聞く🔸「うまく動いた/動かない」よりも、「どう考えてこの順番にした?」に注目する🔸構造を言語化させる習慣=論理的思考の第一歩 |
いきなりコードを書くのではなく、
「流れを図にする・言葉で整理する・目で見て確認する」という準備が、「順序を立てる脳」を育てます。
✅ まとめ:「順序立てて考えられない」は“能力”ではなく“見通しの問題”
「順番にできない子」
「間違っても理由が言えない子」
「なぜそのコードにしたのかわからない子」
これらは、理解力不足ではなく、“脳の中の地図”が描けていない状態かもしれません。
プログラミングで鍛えたいのは「論理」だけじゃない。
“見えるように考える”力と、“順番を立てられる脳”なんです。