目次
― 「記憶できない」は、“納得してない”だけかもしれない
🧠 本記事が基づく教育法と要素
教育法 | 活用された視点・キーワード |
🧠 ブレイン・ベースド・ラーニング | 意味記憶・関連記憶・記憶のフック |
📚 イエナプラン教育 | 異年齢・対話・文脈を重視した学習 |
📖 コンストラクティヴィズム | 意味づけを通じた知識の構築 |
💡 PBL(プロジェクト型学習) | 文脈の中で必要性が見える学び方 |
🧩こんな症状ありませんか?
- 「融点」「蒸発」「酸素」などの語句が覚えられない
- 「覚えなさい」と言っても覚えたフリだけ
- 理科の学習に対して、「意味がわからない」「なんのためにやるの?」という反応が強い
→それは「暗記力がない」のではなく、
“言葉に意味が感じられないから、脳が記憶しようとしない”だけかもしれません。
🧠 ブレイン・ベースド・ラーニングの視点
記憶は、「納得してつながった情報」にしか残らない
- 脳は「意味がある」と判断した情報だけを長期記憶に送り込む
- 「無意味な語句の暗記」は、最初から脳が“保存不要”と判断している可能性がある
📖 コンストラクティヴィズムの視点
言葉は、「経験とつながる」ことで自分のものになる
- 「蒸発ってこういうことか」と感覚とリンクすることで、語句に意味が宿る
- 学びは“言葉を理解する”より“言葉を実感する”ところから始まる
📚 イエナプラン教育の視点
異年齢や対話の中で、言葉は文脈を持つ
- 年上の子が語句を使って説明する/実験中に自然と語彙が出てくる
→ 暗記ではなく会話と文脈で「使える言葉」として定着する
✅ これらの教育法を組み合わせた、家庭でできる工夫3選

①【語句だけでなく、“場面”をセットで提示する】
📌 「言葉」だけを出すのではなく、“いつ・どこで出てきたか”と一緒に思い出すことで記憶が残る
- 🧪 例:「酸素」という語句を覚えさせたいとき
→ 親子で「ろうそくをコップでかぶせる実験」をやってみる
→ 🔥 子どもが「あれ?火が消えた!」と驚いたその瞬間に
→ 👨「この空気を火が使い切っちゃったんだよ。それが“酸素”っていうんだ」 - 🗣 親の声かけ例:
- 「あのとき火が消えたよね。あれってなにが足りなくなったんだっけ?」
- 「“蒸発”って聞いたことある?この前、水が消えてたときの現象と関係あるよ」
- 🎯 ポイント:
- 「言葉」→「意味」ではなく、「体験」→「言葉」の順で出す
- 写真や動画を一緒に見ながら語句を思い出すのも効果的
②【「名前をつけようゲーム」で言葉の本質に触れる】
📌 言葉を与える前に、“その現象に自分なりの名前をつける”遊びを通じて、意味の芯に触れさせる
- 🧪 例:「水がコップからだんだん減っていく」実験を見て
→ 👨「これ、なんか水が“消えてる”ね。もし名前つけるなら、なんて呼ぶ?」
→ 子ども:「水飛び? 水の消え方?」「スーッと水!」
→ そのあとで、「実は“蒸発”っていう言葉があるんだよ」と自然に教える
- 🗣 親の声かけ例:
- 「この現象に、名前をつけるとしたら?」
- 「“ぴったり言い表す言葉ゲーム”してみようか!」
- 🎨 遊びアレンジ:
- 絵本づくり:「消えていく水の物語」
- 自作の図鑑ページづくり:「見つけたふしぎ現象・名前は自分で」
- 🎯 ポイント:
- 正解を当てることが目的ではなく、「言葉の意味を自分でつかむ」ことがゴール
- 発言の自由を大切に、「それいいね!」のリアクションで促進
③【“使う場面”を演じる・描く・話す】
📌 「その言葉がないと説明できない!」場面を体験させることで、語句が“必要な言葉”になる
- 🎭 例:博士ごっこ・実験発表ごっこ
→ 子どもが白衣や工作したマイクを持って、「発表しまーす!」
→ 🔬「水がなくなりました。えっと…それは、“じょー…はつ?”」と、語句を“思い出して使う”流れに - ✏️ 描く活動例:
- 「この現象を説明するポスターを描こう!」→ 語句をラベルとして貼る・書く
- 「“蒸発”を使って4コマまんがを描いてみよう!」
- 🗣 話す活動例:
- 「家族に発表してみよう!“この前やった現象”にどんな名前がついてたか、説明できる?」
- 「その言葉を使わないで説明してみて。あれ?やっぱり言葉がいるね!」
- 🎯 ポイント:
- “自分で使った”語句は、記憶に強く残る
- 遊びの中で「その言葉がないと不便!」という感覚を持たせると定着力が大きく変わる
💥 NG対応例:「書いて10回ずつ覚えよう」「語句テストやるよ!」
💭 大人の意図 | 🧒 子どもの反応 | 📌 よくあるNGシーン |
---|---|---|
覚えてほしい | 「意味わからないけど、とりあえず書いとこ」 | 👩「“融点”って10回書いて覚えてね」 🧒「えー、また書くだけ…」 |
確認したい | 「正解以外ダメっぽい…自分の言葉で言っちゃダメかな」 | 👨「“酸素”の意味は?正確に言いなさい」 🧒「…忘れた」 |
手っ取り早く理解させたい | 「また“理科は暗記”だと思ってしまう」 | 👩「語句テストするよ、昨日のやつ全部」 🧒「えー、もう無理」 |
🧭 改善のヒント:
- 「書いて覚える」の前に、「言葉を必要とする体験」をつくる
- 「意味がある」と子ども自身が感じた言葉は、自然と記憶に残る
- 「覚えよう!」ではなく、「これってなんだっけ?」「前に出てきたよね?」の“つながり探し”を
✨まとめ:「理科の語句が覚えられない子」は、頭が悪いんじゃない。“意味のない言葉”を脳が拒否してるだけかもしれない

✅ 記憶は、「体験」「納得」「感情」の中で残る
✅ 語句の“定義”よりも“使った体験”の方が、記憶に残る
✅ 理科用語は「使わせて覚えさせる」ことが、最大の近道