目次
― 図は「見るもの」ではなく、「考える入口」
🧠 本記事が基づく教育法と要素
教育法 | 活用された視点・キーワード |
🧠 ブレイン・ベースド・ラーニング | 空間認知/視覚情報処理/図形と理解 |
📖 コンストラクティヴィズム | 図を“考える手段”として扱う |
🌱 モンテッソーリ教育 | 図や模型を“触れる学び”にする具体物思考 |
💡 PBL(プロジェクト型学習) | 図・グラフを「問いを立てる素材」にする |
🧩こんな症状ありませんか?
- 理科の“図”を見ても意味が分からず止まってしまう
- 教科書の絵やグラフに無関心、または「見ただけで難しい」と拒否反応
- ノートに図を書かせても、形だけで中身が伝わっていない
→それは図の処理能力が低いのではなく、「図を考える対象として扱った経験がない」からかもしれません。
🧠 ブレイン・ベースドの視点:
図は“絵”ではなく、情報処理のひとつの形式
- 図やグラフの読み取りには、視覚処理・空間把握・前後関係の理解など、複数の脳機能が関与
- 「見方」を教わらなければ、図はただの“飾り”に見える
📖 コンストラクティヴィズムの視点:
図は“正解を見つけるため”ではなく、“自分で考える材料”
- 図は意味を与えられるものではなく、自ら意味づけするもの
→ 「なにが描かれているのか?」「なぜこう描いたのか?」を考えることで、図が“言語”として立ち上がる
🌱 モンテッソーリの視点:
図の理解は、“触れる体験”で補える
- 水の流れ、月の満ち欠け、電気の回路など、抽象図解の前に具体的な操作体験があることで、図の理解が格段に深まる
→ 手と目を連動させた活動が、視覚情報への意味付けにつながる
💡 PBLの視点:
図は「理解の確認」より「問いの出発点」
- グラフや図表を読み、「この変化の理由は?」「もし違う条件だったら?」などの探究のタネとして活用
→ 理科の図が「探す」「考える」活動へ変わる
✅ これらの教育法を組み合わせた、家庭でできる工夫3選

① 【図に“自分の言葉”をのせる】
📌 図は「読むもの」ではなく、「語るもの」にするだけで理解が深まる
- 🗣 親子でできる声かけ例:
- 「この矢印って、何が動いてるの?」
- 「この図の中で、いちばん大事な部分はどこ?」
- 「この線って、どういう意味で書いてあると思う?」
- 📝 活用例(教科書や図鑑を見ながら):
- 月の満ち欠けの図 → 「この丸、なんで色が塗ってあるの?」
- 電気回路の図 → 「この線、どうやって電気が通ってるの?」
- 🎯 工夫ポイント:
- 子どもが言葉に詰まったら、「図の中で“動いてるもの”を探そうか」など、観察をサポート
- 正解を求めるより、“自分なりの言葉”で説明することをゴールにする
② 【“実物”→“絵”→“図”へと段階を踏む】
📌 図を理解させたいなら、まず“手を動かす実体験”から始めよう
- 🧪 家庭でできる例:
- ◆ 水の流れ:蛇口→バケツ→排水口 → 実際に水を流す様子を見せる
→ 次に子どもに絵を描かせ、「これを“記号で表す図”にしたら?」と誘導 - ◆ 電気の通り道:乾電池と豆電球をつないでみる → 見たものを線と記号で表現してみる
- ◆ 水の流れ:蛇口→バケツ→排水口 → 実際に水を流す様子を見せる
- 🖼 活用法:
- 実験写真や動画を見たあとに「それを絵にするとどうなる?」と聞く
- 模型・レゴ・ブロックなどで構造をつくってから、上から見た“図”を描いてみる
- 🎯 工夫ポイント:
- 「絵にしてみよう」→「図にしてみよう」と段階的に抽象度を上げる
- 経験と視覚がつながっていると、記号や矢印にも意味を感じやすくなる
③ 【図を“変形”させてみる】
📌 図をそのまま「見る」だけでなく、“どう描き直せるか”を考えてみる
- 🧩 家庭でできる声かけ:
- 「この図、他の人にもわかりやすくしたいんだけど、どう描き変える?」
- 「真上からじゃなくて、横から見たらどうなる?」
- 「必要なところだけ残すとしたら、どの部分がいらない?」
- 🎮 変形遊びアイデア:
- 「2コマまんがで説明してみて」
- 「“先生になって黒板に描くなら”の図に描き直そう」
- 「写真を見て、それを図に直してみよう」など、図化の“逆操作”もおすすめ
- 🎯 工夫ポイント:
- 図を描くことに慣れると、自然に「どこを記号化すれば伝わるか」がわかってくる
- 観察→選択→構造化の流れが、図的思考の土台をつくる
💥 NG対応例:「図を見て答えて」「図から分かることを言って」
💭 大人の意図 | 🧒 子どもの反応 | 📌 NGなやり取りの具体例 |
---|---|---|
図を理解しているか確認したい | 「よくわからないけど、答えだけ当てなきゃ…」 | 👩「この図からわかることを言ってみて」 🧒「…何が描いてあるかもよくわかんない」 |
教科書に慣れさせたい | 「見ただけで“むずかしい”と拒否」 | 👨「図を見ればわかるでしょ」 🧒「もういいや、無理…」 |
時間をかけずに教えたい | 「図の読み方を知らないまま終わる」 | 👩「図を見てサッと答えなさい」 🧒「なにから見ればいいのか分からない…」 |
🧭 ポイント:図は“答えを探すため”ではなく、“考えるための道具”。
→ 一緒に“図の中で何が起きているか”をたどる対話が、最初の一歩。
✨まとめ:「“図が読めない子”は、理解力がないんじゃない。“図を考える経験”がなかっただけかもしれない」

✅ 図は見るだけでなく、「考える道具」にする必要がある
✅ 実体験とつなげると、図は“思考の地図”になる
✅ 自分の言葉で図を説明できるようになれば、それは“理解”になっている