目次
― 観察力を育てるのは“目”ではなく“問いのレンズ”
🧠 本記事が基づく教育法と要素
教育法 | 活用された視点・キーワード |
🖼 レッジョ・エミリア・アプローチ | 観察を「表現」ととらえ、視点の違いを尊重する探究 |
📖 コンストラクティヴィズム | 「自分なりの見方」で世界とつながる経験 |
🧠 ブレイン・ベースド・ラーニング | 見え方は“知覚の脳回路”で決まる → 経験と問いが鍵 |
🧩こんな症状ありませんか?
- 理科の観察で「何も変わらない」と言う
- 実験や自然観察で「別に…」と興味を示さない
- 見たものを言葉にするのが苦手
→これは「興味がない」でも「注意力が低い」でもなく、
“どこを見ればいいのか”という「視点の設計」がされていないだけかもしれません。
🖼 レッジョ・エミリアの視点
子どもは100の言葉を持つ。観察もまた「表現」の一部である
- “観察=正確に見ること”と思われがちだが、
本質は 「どんな問いで世界を見るか」 - 「これは何?」ではなく、「何に見える?」「何が気になる?」と問えば、
子どもは“自分の視点”で世界を切り取ることができる
📖 コンストラクティヴィズムの視点
観察とは、「自分なりの見方」をつくる学び
- 誰かに教えられた「答え」を探すのではなく、
自分の中にある疑問や違和感から、意味づけを始める
🧠 ブレイン・ベースドの視点
脳は「見ているもの」より「探しているもの」に反応する
- 「変化してるかな?」と探している子は、小さな変化も見つけられる
- 「何を見たらいいか分からない」状態では、脳は情報をスルーする
✅ これらの教育法を組み合わせた、家庭でできる工夫3選

①【「どこが気になる?」をセットで聞く】
📌 “何を見るか”を決めさせると、観察が「自分のこと」になる。
- ❌ NG質問:「変化ある?」「何か気づいた?」
→ 子ども:「うーん、別に…」「わかんない…」 - ✅ こう変えてみよう:
- 👩「この2つの花、どこを比べてみたい?」
- 👨「この葉っぱ、どこが変わりそうかな?形?色?重さ?」
- 🧪 実践シーン:
- 水につけた豆の観察 → 「どこが気になる?ふくらみ方?皮の色?」
- 雨のあとの公園で → 「昨日とどこが違うかな?土?葉っぱ?におい?」
- 🎯 親のポイント:
- 「見る対象を限定する」と、視野が絞られ観察しやすくなる
- 「どこが面白そう?」など感情に寄せた問いも◎
②【「前と同じ?違う?」の2択でスタート】
📌 難しい観察ではなく、「比べる」ことから始めると、目が動く。
- ✅ 会話例:
- 👩「昨日の氷と今日の氷、どっちが大きい?」
- 👨「このコップの水、朝と色が違う気がする?どう思う?」
- 🧪 観察遊び:
- 昨日と今日の空の写真を見比べて:「同じ?違う?」
- 朝顔の花の開き具合:「今日は何が“違って見える”?」
- 🧒 子どもの反応が変わる!
- 比較対象があると「前より薄い!」「昨日はもっと元気だった!」など具体的になる
- 🎯 親のポイント:
- YES/NOで終わらせず、「どう違う?」「どのくらい?」で言語化へつなげる
③【「絵で観察」→「言葉に変換」トレーニング】
📌 “見る”だけで終わらせず、“描いて、語る”ことで観察が深くなる。
- 🧪 実践シーン:
- コップの中の氷の変化を5分おきに絵で記録
- 葉っぱを1枚見て、形・模様・虫食いの跡などをスケッチ
- 🗣 観察→言葉の変換の声かけ:
- 「この絵、どこが一番伝えたいところ?」
- 「この線、何を表してるの?」
- 「この絵を見てない人に、どんな葉っぱだったか説明するとしたら?」
- 🖍 道具の工夫:
- ミニスケッチ帳を“観察専用ノート”に
- 鉛筆+色鉛筆で「色」や「グラデーション」も意識
- 🎯 親のポイント:
- 絵は「正確」でなくていい、「何を見たかを“自分なりに”表す」ことが目的
- 描いた後の「語り」が、本当の観察力を育てる時間
💥 NG対応例:「ちゃんと見なさい」「集中して!」
💭 大人の意図 | 🧒 子どもの反応 | ❌ よくあるNGシーン |
---|---|---|
観察に集中してほしい | 「え、何を見ればいいの…?」→ 観察から気持ちが離れる | 👩「もう一度ちゃんと見て!」 🧒(どこを見たらいいの?) |
理解を深めてほしい | 「答えを見つけないといけないの?」→ 表現が止まる | 👨「集中しなさい、変化あるでしょ!」 🧒「…合ってる答えがわかんない」 |
🧭 改善のヒント:
- 「どこが気になった?」と“見るポイント”を子ども自身に委ねる
- 「違うかな?」と変化への感覚を育てる
- 「見たものを絵に描く → 言葉にする」で“観察=表現”の土台ができる
✨まとめ:「観察できない子」は、“見る力”が弱いのではなく、“視点を与えられていない”のかもしれない

✅ 観察とは「視力」ではなく「視点」の訓練
✅「どこを見てもいい」「自分の気づきを話していい」環境が観察力の土台
✅見る→描く→語るの流れが、「観察を思考に変える力」を育ててくれる