「うちの子、どうしてこんなに読むのが遅いんだろう?」

もしあなたが、お子さんのこんな姿に心当たりがあるなら、国語力や語彙以前に「ある機能」が問題かもしれません。

それは――目の“動き”です。

■ 実は見逃されている「視線追跡」の問題

私たちの目は、文字を読むときにただ見ているだけではなく、「滑らかに行をたどる」「次の行にジャンプする」「戻って確認する」など、かなり複雑な動きをしています。

しかし、「国語が苦手」と言われる子どもたちの多くに、この視線を追う力(視線追跡・視覚運動協応)に問題があることが、海外の研究でわかっています。

■ 数字で見る:どれくらいの子が抱えているのか?

  • アメリカの視覚認知研究(Scheiman, 2007)によると、
    読み書き障害(Dyslexia)のある子どもの約80%が、視覚機能に問題を抱えていると報告されています。
  • 特に視線をスムーズに動かせない子は、以下のような特性を持つことが多いです:
    • 行を飛ばして読んでしまう
    • 同じ行を何度も読んでしまう
    • 音読が極端に遅い
    • 読み飛ばし・読み間違いが多い

■ 【超簡単チェック】家庭でわかる「視線追跡のクセ」

以下の方法で、お子さんの視線の使い方をチェックできます:

✅ チェック方法(所要時間:30秒)

  1. ペンや指をお子さんの目の前でゆっくり左右に動かす
  2. その動きを両目で追ってもらう

✅ 観察ポイント

  • 頭が動いてしまう(目だけで追えない)
  • 急に目を離す・途中で止まる
  • 片目だけがズレているように見える

→これらが当てはまる場合、視線追跡の発達が不十分な可能性があります。

■ 【家庭でできる】ビジョントレーニング3選(毎日3分)

  1. ビーズ追いゲーム
     ペンにビーズを刺し、左右・上下にゆっくり動かして目で追わせる。
  2. 行飛ばし読み防止プリント
     1行ずつ紙で隠しながら読ませる。目の集中と視線制御を育てる。
  3. 視線ジャンプ訓練
     ランダムに配置した数字(1~20)を目で順番に見つけていく。

📌 ポイント:1日3分、楽しみながら続けることが大切!

■ なぜこの問題は「学校や塾では気づかれにくい」のか?

理由はシンプルです。

  • 学校では視覚機能の検査はしていない(視力検査だけ)
  • 塾や家庭教師も読み方の“結果”は見るが、“原因”までは見ない
  • 保護者も「読み間違い=国語力不足」と考えがち

でも実際は、目の使い方=“読む準備”ができていないだけというケースがとても多いのです。

■ 専門家に相談するなら?

  • ビジョントレーニングを行っている視能訓練士(眼科)
  • 視覚認知アセスメントができる作業療法士(OT)
  • 一部の児童発達支援施設・療育センター

■ まとめ:「国語力」以前に、“目”が読書の土台だった

お子さんが読むのに時間がかかる、すぐに疲れてしまう――それは努力不足ではなく、「目のスキル」が未発達なだけかもしれません。

「国語の成績を上げたい」と思ったら、まず“視線の動き”という意外な視点から見直してみてください。